夏もだいぶ終わりの雰囲気になってきた。9月に突入してはいるが暑さはまだまだ厳しく、正直まだ「夏の薫り」がするのだ。そんな夏の思い出として彼女に出会ったのは、偶然ではなく必然だったのかもしれない。必然だったのだと思いたいだけかもしれないが、そもそも偶然と必然の違いなど紙一重であると思う。
夏の富士五湖エリアは緑豊かでありながら大地の恵みを一身に受けた湖がとても綺麗だ。この場所に来ると元気がもらえる。すべての生けるものが生命力に満ち溢れている。撮影当日は雨が降ったり止んだりと気まぐれな天気。それは彼女の心を写し出しているかのような錯覚を覚える。
「限りなく甘いのになぜか不思議な味がする」
そんな言葉が彼女にはよく似合う。先に言っておきたいのはこれは最高の褒め言葉。甘いだけの女の子より少し不思議な部分がある女の子のほうが魅力的だ。萌子ちゃんを見えているとそう思ってしまう。おとなしい普通の女子大生……そんなつまらない言葉で終わらせることのできない奥深くにある「何か」にふれてみたい。そう思いながら、シャッターを切り続ける。途中でシャッターを切るその指にほてりがみえてくる頃に、彼女は笑った。その世界でたったひとつしかない素敵な笑顔を見れた時、ポートレート写真を取り続けるフォトグラファーは、カメラを握っていて幸せだと実感できる。「人の心の中を切り抜ける」なんて難しいことはできないが、「彼女の心を少しだけ覗きこむ」ことはできるかもしれない。そんなちっぽけな存在である僕にとって、萌子ちゃんはあまりにも色鮮やかに写る。その鮮やかさに魅了してしまってはいけないのだろう、フォトグラファーでいたいなら「客観性」は必要だ。ただの男でいいのなら、その鮮やかな花のような彼女に惑わされながらカメラを構えていたい。
■Model:MOEKO suzuki
■Photographer:ATSUSHI.ogai
■Camera : Olympus OM-D E-M5 other……
■Photograph■